ルーシー:社長、最近ちょっと気になる話題、ありませんか?
社長:あるよ!税理士の先生が「繰越欠損金、期限大丈夫ですか?」って言うんだけど、正直ピンとこなくてさ…。
ルーシー:それは重要ですね。赤字の“残り火”、うまく使わないと自然消滅しちゃいますよ?
社長:え?赤字って“使える”の?
ルーシー:はい、「繰越欠損金」って制度があって、過去に出した赤字を将来の黒字と相殺して税金を減らせるんです。
社長:へぇ!それ、何年分まで?
ルーシー:今は最大10年間です。ただし10年経つと、その欠損金はもう“使えません”。たとえば2016年の赤字は2025年で消えちゃうんです。
社長:おおっと…。うちの過去の赤字、まだ残ってるな…。でも、それって全額使えるの?
ルーシー:中小企業であれば、黒字分までなら全額OKです。大企業だと半分しか控除できないんですけどね。中小企業の特権です。
社長:それはありがたい…。じゃあ黒字になった年には、それで税金ゼロってこともある?
ルーシー:あります。たとえば、前期に赤字50万、今期に黒字150万なら、50万を控除して課税対象は100万円。その分の税金を減らせます。
社長:なるほど!でもうち、まだ黒字にはならなさそうでねぇ…。
ルーシー:それなら、黒字に「するタイミング」を考えてみませんか?
たとえば、土地や機械の売却益が出そうなとき、それを欠損金の残ってる年に合わせて実行すれば、税金を最小限にできます。
社長:タイミングを調整するって…税の“打ちどころ”みたいだな。
ルーシー:その通りです(笑)。あと、もう一つ実務的な裏技があります。
たとえば、社長が会社に貸してるお金、ありますよね?
社長:あるある。数百万は貸してる。
ルーシー:それを「返さなくていい」として、会社に債務免除益を出します。でも、欠損金があればその益に税金はかからない。
つまり、自己資本が増えても税金はゼロ。銀行評価は上がる。
社長:へぇ〜〜〜、そんな技もあるのか…。まるで税金の防波堤みたいだな。
ルーシー:まさに。それが“欠損金の持つ力”なんです。
ただし使い方には注意も必要です。
社長:たとえば?
ルーシー:繰越欠損金があるからって、わざと赤字を出すのはNGです。
赤字は「資産」じゃない。繰越欠損金があっても、連続赤字だと銀行は信用格付けを下げます。
社長:…あー、確かに去年も“要注意先”とか言われたな…。
ルーシー:ですよね。改善計画を立てて、「この欠損金を何年で使い切るか」というシナリオを描くことが大切です。
逆にそれができれば、銀行は前向きに評価してくれますよ。
社長:じゃあ、帳簿とかきちんと保管しといた方がいいな。
ルーシー:そうです。帳簿保存は10年必要ですし、繰越欠損金の“回収可能性”が問われることもあるので、黒字化の計画は必須です。
社長:なるほどなぁ…。赤字をただの失敗じゃなくて、“未来の盾”にできるのか。
ルーシー:まさにその視点が大事です。補助金の審査でも、欠損金があるからNGとは限りません。
むしろ、「回復中の企業」として支援対象になりやすいケースもあります。
社長:ルーシー、今日の話、かなり心に刺さったわ。
ルーシー:ありがとうございます。繰越欠損金は、**攻めにも守りにもなる“経営の武器”**です。制度を味方につけて、一歩先の経営を!