【ルーシー】 社長、最近ニュース見てて思うんですけど、世界ってほんとめまぐるしく変わってますよね。為替も原材料費も政治も。こういう時、経営って感覚だけでやるの、危なくないですか?
【社長】 おいおい、いきなり警告か(笑)まあでも、確かに肌感覚だけじゃ限界あるなって思ってたよ。
【ルーシー】 そんな社長にピッタリなツール、今日はご紹介します。その名も――PEST分析です!
【社長】 ペスト?なんか病気みたいな名前だな……。
【ルーシー】 (笑)確かに。でも正式には、政治(P)、経済(E)、社会(S)、技術(T)――この4つの外部環境を分析するフレームワークです。
【社長】 ふむふむ。SWOTの外側バージョン、ってことか?
【ルーシー】 その通りです!SWOTの「機会」と「脅威」を見極めるのに役立ちます。特に今のように変化が激しい時代、中小企業こそPEST的な視点を持つべきなんです。
【社長】 でもよ、そんな大企業がやる話だろ?ウチみたいな製造業でどう使えるんだい?
【ルーシー】 じゃあ実際の例を見てみましょう。例えば自動車業界。エコカー減税の見直し(政治的要因)で軽自動車の販売が減った。これ、車部品作ってる会社にとって死活問題ですよね?
【社長】 ああ……確かに。制度一つで注文が激減ってのは聞いたことあるな。
【ルーシー】 他にも、円安で輸出採算は上がるけど、原材料費も上がって収益悪化(経済的要因)。
【社長】 あー、それは今まさにウチが直面してるやつだ……。
【ルーシー】 「若者の車離れ」で新車が売れず、カーシェアが流行る(社会的要因)とか、
【社長】 うんうん、もう“モノ”としての魅力じゃなく“使い方”が重視される時代だな。
【ルーシー】 そして最後に、EV化や自動運転(技術的要因)で業界自体が変わっちゃう。部品構成もガラッと変わりますから。
【社長】 てことは、うちも気付いたら「作ってる部品に需要がなくなった」なんてことになりかねないってことか……。
【ルーシー】 その危機感、最高です!でも同時にチャンスもあるんです。例えば環境意識の高まりを「追い風」にして、エコ製品開発に投資する企業も出てきてます。
【社長】 うん、分かった。で、実際にPESTってどうやってやるの?
【ルーシー】 まずは情報収集。政府の白書、経産省のレポート、業界団体の統計なんかを参考に、「今後影響ありそうな変化」を洗い出します。
【社長】 全部やろうとしたらキリがなさそうだな……。
【ルーシー】 お見通しですね(笑)だからポイントは、自社との関連が強いところに絞ること。たとえば子供用品メーカーなら「出生率」や「教育政策」は重要だけど、「裁判員制度の変更」は無視してOKです。
【社長】 なるほど。ウチで言えば、「為替」「電力政策」「EV化」「熟練工の高齢化」あたりかな。
【ルーシー】 まさにドンピシャ。で、それらを「機会」「脅威」に分類して、戦略を検討する。SWOTと連携させるのも有効です。
【社長】 で、毎年やるのかい?
【ルーシー】 一度作ってしまえばそれからは見直しをしておけば大丈夫ですよ。中期経営計画や補助金申請時の分析にも活用できますよ。
【社長】 そういやロカベンにもPEST的な項目あったな。
【ルーシー】 鋭い!経産省も中小企業向けに推奨していますし、最近は補助金でも分析シート提出が求められるケースが増えています。
【社長】 ……で、ぶっちゃけやる価値あるのか?忙しい中で時間割く価値があるのか?
【ルーシー】 ズバリ言いましょう。「リスクの早期発見」「機会の先取り」「社内外への説得材料」――この3点だけでもやる価値は十分です。特に金融機関は、社長がマクロ環境を把握してるかを評価の材料にしてますからね。
【社長】 たしかに最近、信金の担当にも「SDGsの対応どうしてます?」って聞かれたな……。
【ルーシー】 それ、PESTでいうとS(社会)ですね!そこに気づけるかどうかで、経営の視野が変わります。
【社長】 よし、やるかPEST。さっそく今期の計画に組み込んでみるよ。
【ルーシー】 素晴らしい!変化を読む目を養えば、どんな荒波も乗り越えられますよ、社長!